第142回(2016年2月28日)の日商簿記検定が近づいてきました。
今回の試験ではどのような問題が出題されるのか、予想しました。
ただし、予想した分野だけしか勉強しないのではなく、苦手な分野があれば解けるようになっておくのが正しい学習法です。苦手な分野はテキストや総仕上げ問題集を使って復習しておきましょう。試験直前に実力が伸びますので最後まで諦めずに頑張ってください!
■日商簿記3級
第1問 仕訳(20点)
1仕入諸掛(両者負担)
2固定資産の期中売却
3当座借越
4収入印紙と切手の購入
5引出金
第2問 補助簿(10点)
・補助簿から仕訳を記入する問題
第3問 残高試算表(30点)
・二重仕訳が発生する問題
第4問 勘定の記入(10点)
・経過勘定(前払、未払、前受、未収)の勘定記入
第5問 損益計算書と貸借対照表(30点)
【補足】その他、出題可能性が高いのは次のとおり。
・第2問 小口現金出納帳、商品有高帳の記入
・第4問 伝票会計の問題、理論の穴埋め問題
・第5問 精算表
■日商簿記2級
<商業簿記>
第1問 仕訳(20点)
1増資(株式交付費あり)
2不渡手形(諸費用あり)
3固定資産の買い換え
4所得税預り金、住民税預り金、社会保険料の納付(会社負担分は法定福利費)
5賞与の支払い(従業員預り金がある場合=給料の処理と同じ)
第2問 銀行勘定調整表(20点)
第3問 貸借対照表と損益計算書(20点)
・満期保有目的債券の償却原価法
・期中取得の建物の減価償却費を分けて計算する
・200%定率法で減価償却を行う。
<工業簿記>
第4問 個別原価計算(20点)
・個別原価計算
第5問 標準原価計算(20点)
・標準原価計算の原価差異分析
・損益計算書
<簿記2級の全体としての傾向>
最近3回の傾向を見ると範囲改正後も使える内容から出題しています。特殊商品売買、社債、繰延資産の可能性は極めて低いです。そして、範囲が狭くなったのですが、商業簿記の問題が難しくなっています。工業簿記の難易度はずっと変わっていませんので、工業簿記で点数を稼ぎ、商業簿記で簡単な所を正確に解くことが合格への近道です。
①工業簿記で満点を取ることが大切。問題集でも過去問でも、すべての問題が解けるようにしておく。
②第1問の仕訳問題が難しくなった。ただ、簡単な問題も出ているので、簡単な問題を確実に解くこと。
③第2問で簿記3級の帳簿の記帳ができる事を確認する内容が出題されている。主要簿と補助簿の記入、締め切り、損益振替について、簿記3級の内容を復習する。
④第3問は財務諸表の問題が出題されている。今後、精算表はあまり出なくなる(簿記3級でも同じ傾向)。
⑤前回の合格率が低かったので、基本レベルの問題が出題される可能性があるので、基礎が大切。
【第1問】
前回の試験が合格率が低かったため、過去問の傾向を反映した典型的な問題が出題される可能性もあります。
しかし、私の予想では、過去問で出た内容を少し変更した、見慣れない問題が出題されると思っています。テキストの基本的な仕訳を覚えた上で、最近の過去問の仕訳(138回、139回の仕訳が141回で難しくなって出てきたので、似たように変形して出てくる)を抑えておくのが正しい学習法です。
■典型的な仕訳が出る場合の対策
過去問の出題傾向から、上記に挙げた内容と次の内容が出題される可能性が高いです。きっちり抑えておきましょう。
<出題可能性が高い内容>
・株主総会での繰越利益剰余金の処分(利益準備金の計算を自分で行う)
・固定資産の購入(消費税の税抜方式)
・損益振替(当期純利益または当期純損失)
・法人税等の確定(法人税等または還付法人税等)
■見慣れない仕訳が出る場合の対策
最近の傾向として、税金に関する内容(法人税等、消費税、固定資産税)が良く出題されています。新しい傾向として、預金利息の源泉徴収や受取配当金の源泉徴収も出題されています。これに関連する内容として、給料や賞与の支給時の社会保険料や所得税・住民税の源泉徴収、または社会保険料の納付、所得税・住民税の納付が出題される可能性があります。135回第1問2を確認しておきましょう。
建設仮勘定が何度も出ていますが、何故こんなに繰り返し出題されるのか、不思議です。固定資産関係は重要ですから、買換え、除却、廃棄、火災(火災損失だけでなく保険差益も)など、すべての仕訳が解けるようになっておきましょう。
また、見慣れない問題で、指示に従って処理ができるのかを問うている問題も良く出題されいます。暗記した内容をそのまま書くのではなく、問題文の指示に従う練習も大切です。なお、難解な内容が出た場合、捨て問(1問4点しかない)ですから、他の基本的な問題を確実に正解することが大切です。変な問題に時間を使わないように注意しましょう。
【第2問】
銀行勘定調整表、勘定記入、株主資本等変動計算書の問題が予想されます。それぞれについて、仕訳との対応関係を理解しておきましょう。また、理論の穴埋め問題が出題される可能性もあります(簿記3級参照)。
<出題可能性が高い内容>
・勘定記入の問題(固定資産、給与、有価証券)、株主資本変動計算書の問題
【第3問】
貸借対照表と損益計算書の問題が短時間で解けるように練習しておきましょう。最近は問題のボリュームが多い傾向が続いています。また、損益計算書の段階利益の名称を覚えること、貸借対照表の表示区分(例えば、満期保有目的債券が流動資産の有価証券、固定資産の投資有価証券に分かれるポイント)も抑えておきましょう。今後は勘定科目がどこの区分に表示されるのか、空欄になっている問題が主流になってきます。
<出題可能性が高い内容>
・第3問 精算表、本支店会計の問題(合併損益計算書と合併貸借対照表)
【第4問、第5問】
ここ30回以上、似たような問題しか出ていません。工業簿記は範囲が広く、すべての分野の出題可能性は同じ状況です。苦手分野を作らないことが重要ですから、出題予想の内容ではなく、苦手な分野を克服する学習を進めていきましょう。
<出題可能性が高い内容>
・材料費、労務費、経費などの資料から、製造原価報告書と損益計算書を作成する問題
・本社工場会計の仕訳の問題
・総合原価計算の仕損(処分価値あり)
合格するために大切なことは、基本的な問題を確実に正解することです。難しい問題に注目してしまいますが、合格した人も難しい問題は正解していません。大切なのは、簡単な問題から順番に解くこと、苦手な分野を作らないこと、難しい問題に時間をかけすぎないこと、簡単な問題でミスしないこと、勘違いによるミスしないこと、を試験前に練習しておくことです。
まだ試験まで時間がありますので、2月の合格を目指して頑張りましょう!
2月16日に簿記2級商業の改訂版テキストが発売します。実践問題も一新しました。パブロフ簿記アプリ(3級、2級)も更新予定です。詳しくはまた更新しますので、お待ちください♪